子連れの壮絶富士山登頂
Aug
16

山内です。
富士山に登頂しました!前々から「次男が小学1年生になったら挑戦」と決めていたのです。
-------( 以下、プライベート話ですが、”強烈体験”だったので写真日記風に )-------
朝、「曇りのち雨」の天気予報に迷う。何枚もの天気図と10分くらいにらめっこ。雲の動きから、雨は降っても長引かないと判断、妻と娘を家に残して、男三人で東京を出発。前日に「富士山は怖いところだ」と充分脅しておいたので、子供達も真剣で、渋滞の車中でも喧嘩せず仲良くしている。ほどなくして、4つある富士山登山ルートのひとつ、須走口に、到着。
正午に出発。須走登山道は他ルートに比べて変化に富む。最初のうちは緑のなかを抜ける。
途中、すれ違う人から、「えー小学校1年生なの?すごいねえ。」「頂上まで行けるといいねえ!」などと声をかけられ、調子に乗る子供達。登山は、知らない人同士でも気軽に挨拶したり、会話する。それが楽しい。
5ヶ国語の標識。途中で話した人や小耳に挟んだ会話の感じでは、韓国、米国、カナダの人が多かった。地元の人は、富士山を世界遺産にしようとしている。
標高3000Mあたりから、気圧が下がってくる。キャラメルの袋がパンパンに膨れるのには笑えるが、一方で頭痛がするなど「高山病」の兆候が始まる。このあたりが、悪夢の始まりだった・・・
突然にあたりが暗くなり、にわか雨。雨合羽を着るのが間に合わず、ズブ濡れる。一気に温度が下がり、濡れた体は寒くて震える。だんだん雨は激しくなり、暴風が下から(!)吹くわ、稲妻が水平に(!)走るわで、この世のものとは思えぬ景色。周りは低い岩があるだけなので、背を小さくしていないと雷に直撃されそうだ・・・と思っていたら案の定、ものすごい音を立ててスグ近くに落ちる!本気でこわい。さらに追い討ちをかけるように、雨がヒョウに変わり、1センチ大の大量の粒が体を容赦なく叩きつける。これがまた痛い。
ただでさえ登るのは苦しいのに、氷雨に打たれて体温はどんどん奪われる。時々うずくまって休むが、凍えてガタガタ震える。
とにかく登り続けるしかない。下の山小屋よりも、上の山小屋までの距離の方が、短いからだ。ヒョウと雨モヤで周囲が見えなかったが、そのうち前方に人影が見え、とりあえず孤立の恐怖感からは救われる。暴風、稲妻の恐怖と音、打ちつけるヒョウ、周りが見えない孤立感、疲労、ズブ濡れ、0℃近い寒さ・・・こんな壮絶局面で、子供達がパニックにならなかったのが何よりも有難かった。
※この日のヒョウは異常な量で、翌日の朝日新聞の1面に富士山の写真が掲載された。
やっとの思いで山小屋にたどり着くと、なかは既に満員電車状態。すべての避難者を収容しなければならないため、誰も座ることはできない。高山病で気分が悪い人もギューギュー詰めで、みな必死で立ち続けている。しかも電気なく真っ暗。「ねえ、あと何分、このままでいるの?」子供に何度聞かれても、「もうすぐだよ」としか答えられない。「手が冷たくて動かないよー」ガタガタ震える手を揉んでやるが、体温は戻らない。僕自身も高山病の頭痛がひどくなり、つらい時間だった。
30分くらい経ったろうか、雨がやみ、すし詰め状態に我慢限界だった避難者が三々五々動き出す。山小屋のあんちゃんは「まだ雷の可能性ある」と脅すので、我々は小屋の外には出ずに、とりあえず可能な限りの着替えで暖を取る(例:僕の靴下を長男の手袋に代用とか、バンダナを首に巻く、とか)。
すると突如、小屋の外から歓声と拍手が上がった。何かと思ったら、虹。雨が完全に上がったんだ。きれいだ。なぜかむしょうに嬉しい。子供達も感動し、元気が出てきた。山のかみさまは、イキな演出をする。
ここから次男の顔つきが変わった。男の顔だ。不平や甘えが一切なくなり、前を向いて、力強く登り続ける。自然の持つ恐怖と素晴らしさを一度に体験し、グズる都会っ子から脱皮した。
宿泊予定だった山小屋にたどり着く。山壁にへばりついたような、小さな小屋だが、200人前後が寝泊りする。山小屋は登山ルート別に5軒くらいづつあるようだ。
中はこんな感じ。赤の他人と(男女かまわず!)ひとつの布団をシェアして、窮屈に寝る。いびき、体臭・口臭、関係ない。神経質な人には無理だ。ヘトヘトだった我々は横になれるだけで幸せ、あっという間に眠りに落ちる。
翌朝の5時。曇り空だが、ご来光を見れた。運がよい。
いでたちは、昨日と違い、完全武装。妻の手作りスパッツを3人で履く。
手に持っている杖には、山小屋を通過するたびに焼印を押してもらう。スタンプラリーみたいで、子供はハマる。1個2-300円もするが、息子達の元気代金としては安い。
やはり雲を下に見るのは、気分がよい。ヘリコプターも眼下を飛ぶ。曇り気味だが、かえって体力消耗せずに良い。
登る後姿もサマになってきた。わが息子ながら、格好よい。
(※分かりますか?稜線にポツポツ見えるのが人影。)とはいえ、すぐにツラくなる。疲労と筋肉痛で、20センチ歩幅のゾンビのような歩き方になる。山頂まであと少しなのに、時間がかかる。5-10分おきに休憩しないと前に進めない。次男も少し頭が痛いと言い出す。長男はさすが兄貴だ、シリトリをしたりして、弟を励ます。
道の途中で、大人がバタバタと倒れている。みな、うずくまったりして、苦しそう。「なんでそこまでして登るの?」と聞かれそうだが、ここまで来たら登るしかないのだ。
そして・・・やったー!着いた。頂上です。言いようのない達成感。昨日の「ヒョウx雷x暴風雨xすし詰め立ちっ放しx高山病」の1時間を思い出す。
頂上でのカレー。priceless。信じられないほど旨い。驚く。これがホントの「自分へのご褒美」だ。みんな良くやった!
火口をコワゴワ覗いたあとは(ちょっとした迫力)、さあ!下山。「砂走り」といって、くるぶしまで足がもぐる柔らかい道を、滑るように歩く。子供達はこれが楽しくてしょうがない。危ないから止めろと言っても、飛び跳ねて降りるので、途中から「ゴミ拾いゲーム」をさせてペースダウン。それでも大人をどんどん追い抜く。
追い抜くとき、「元気だね、頂上まで行ったの?」「え?6歳で?」と次男は感心される。途中で断念している人も多いから、なんでこんな小さな子が、と思うのだろう。そのうち次男は味をしめ、自分から進んで声をかけるようになった。
「ボクさー、6歳なんだけどー、頂上に行ってきちゃったあ!」と、聞かれてもいない年齢を先に言う。
まあ実際よく頑張ったから、自慢もいいか、と思う。むしろ正直に言うと、「小学生二人連れで頂上制覇したお父さん」のことも、同じくらい自慢して欲しいんだけどな。
・・・と、そんなこっちの胸の内が伝わったのか・・・子供が振り向いて言ったセリフに驚いた。「今度は、僕たちが、お母さんを頂上まで案内するよ。」
カッコいいこと言うじゃないか。「ほほう、えらそーに!」
![]()
- カテゴリ:山内トーク
- 投稿者 山内 善行|2006年08月16日 |トラックバック (0)



